五木イズム

『運命の足音』五木寛之 ★★★★★

'02読了。

《印象に残った内容》

○人間は傲慢になりすぎている。円木につながれた狂牛病の
 牛たちの目を見てそう思わずにはいられなかった。

○傲慢な人間にブレーキをかけるのが「宗教」。「経済」は
 エンジンであり、「政治」はハンドルである。

○環境問題に対する根本的な考え方は日本とヨーロッパとは
 違うはず。ヨーロッパは人間の生活を守るために自然環境を
 大事にしようという人間中心主義。東洋は、仏教もそうだが、
 自然のすべてに生命があり、互いに共生して生きていくべき
 という考え方。だから自然と謙虚に向き合うべきである。

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著者:五木 寛之
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『夜明けを待ちながら』五木寛之 ★★★★★

'98読了。

《印象に残った内容》

○本川達雄さんの『ゾウの時間 ネズミの時間』によれば哺
 乳類の一生の呼吸の数は5億回である。

○人生というものはそんなにすばらしいものではなく、ひど
 くて残酷なものであり、不合理なものだ。だけど、投げ出し
 てしまうほどはひどくない。

○平凡に生きる人も、失敗を重ねて生きる人も、偏見に包ま
 れて生きる人も生きているということに価値があり、どのよ
 うに生きたかは2番目、3番目に考えればよいこと。

○人間は病気の巣であり、自分の体のバランスを崩して病気
 を表に出さないようにすることが大事。

○今を生きるためには次の3つが大事。①健康②自分の信念、
 ポリシー③経済的基盤

○歳をとっても夢を持ち続けることができるのはひとつの才
 能。

○こういう時代のなかではっきりしていることは自分以外の
 ものを頼りにすることはできない。教育、健康、財産、職場、
 すべて頼りにできない。自分でやるしかない。

○物事に失敗したとき、他力の風が吹かなかったと自分の
   責任じゃないと思うことにする。そのかわりうまくいったと
   きには、他力の風が運んでくれたのだと決して傲慢にな
   らない。

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著者:五木 寛之
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『人生の目的』五木寛之 ★★★★★

'99/11読了

《印象に残った内容》

○人生の目的は、「自分の人生の目的」「自分だけの生きる
 意味」を探すこと。

○人間というものは思うとおりにならないもの。この世に生ま
 れた瞬間から不自由なものを背負って生まれてくる。

○自信を失いとことん無力感におしひしがれた人間が「他力」
 の光を感じることができたならば「自信」とは別の人間らしい
 姿勢が生まれる。

○「あ~ぁ 寝るより楽はなかりけり。うき世のばかが起きて
 働く」

○アウシュビッツ強制収容所から生還したフランクルの『夜と
 霧』によれば、ちょっとした生活の片隅に転がっているような
 ちいさなことも人間の生命力を支えていることを教えてくれる。

○子どもに親孝行は期待してはいけない。子どもは6歳から7
 歳までに十分親孝行をしてくれている。子どもによって親は喜
 びを与えられ、育てられ、生かされてきた。

○幸福に対して私たちは貪欲すぎる。今与えられているものだ
 けで感謝して満足することが必要。それは単にモノだけでなく、
 内面的な精神の部分についても言える。自分の足で歩ける
 こと、自分の耳で聞くことができること、当たり前と思わず、
 心から感謝してそのことだけでも幸せだと思わなければいけ
 ない。足るを知ること「知足」の考え方を持つ。

○生きていくうえで大きな力を持つものは、日々の生活のなか
 のつつましい喜び、過去の貴重な思い出。

○「あなたもいつか、これという理由もないのに、なんとも言
 えない心が萎えるような、そういう重いものを体の奥に感じる
 ときがあるものだよ。そういうものは<ハン>というのよ。そう
 いうときには、それをはね返そうと無理に、がんばれ、がんば
 れ、と肩肘をはってやってもしょうがない。自分はだめだと弱
 気になったり、不安になったりするのもやめなさい。そういう
 ときはハンの重さを背負ったまま、しゃがみこんで、肩を落と
 して、はーっ、胸の奥から大きなため息をつくといいんだよ。
 そうすると一瞬ではあるけれども、ハンの重さという、肩の上
 に鉛の板のようにのしかかってくる不思議な心の萎えるよう
 な重さが、ほんのちょっとふっと軽くなるような気がするものな
 んだ。はーっと大きなため息をつくことで、ハンの重さがちょっ
 と軽くなる。そうしたら、そこでもういっぺん立ち上がって歩
 いていけばいいじゃないか。」

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『他力』五木寛之 ★★★★★

('98読了)

《印象に残った内容》
○「他力とは、目に見えない自分以外の何か大きな力が、自分
 の生き方を支えているという考え方なのです。自分以外の他者
 が、自分という存在を支えていると謙虚に受けとめることが重
 要なのです。他力とは言葉を替えると、目に見えない大きな宇
 宙の力と言ってもよく、大きなエネルギーが見えない風のよう
 に流れていると感じるのです。自分ひとりの力でやったと考え
 るのは浅はかなことで、それ以外の目に見えない大きな力が
 自分の運命に関わり合いをもっている。」

○「わがはからいにあらず」という「他力」の思想を思うとき、
「なるようにしかならない」という安心感が訪れてくるのです。

○「他力」の思想はヨットにたとえられる。エンジンのついて
 いないヨットは無風状態では走ることができません。ヨットの
 上でどんなにがんばっても無駄。しかし、風が吹いてきたとき
 にヨットの帆をおろして居眠りをしていたのであれば走る機会
 を失ってしまいます。だから無風状態が続いても、じっと我慢
 し、注意深く風を待ち、空模様を眺めて風を待つ努力が必要な
 のです。他力の風が吹かなければ、ヨットのように私たちの日
 常も思うとおりに動かないものなのでしょう。

○物事がうまくいかないときは他力の風が吹いていないと思え
 ばよいのです。反対に、思った以上に物事がうまくいったとき
 は、過信するのではなく謙虚に他力の風に感謝すべきなのです。

○正直者がばかを見るのは当たり前、努力は報われるものでは
 ないのです。

○人間はただ無為に生きるだけでも大変なことです。生きるこ
 とそのものが大変なことなのです。どんな人生であってもそれ
 なりに一生懸命必死で行き続けてきたに違いないのです。

○「マイナスの勇気、失うことの勇気、あるいは捨てることの
 勇気。現実を直視した究極のマイナス思考から、本物のプラス
 思考が出てくるのです。」

○諦めるは明らかに極める、勇気を持って現実を直視すること。

○「ぼんやりと自分の意識の外を流れていくような聞き方をし
 ながらも、なお心に残るものこそ忘れないし、これこそ大事な
 ものであるということではないでしょうか。」

○「慈悲」という言葉の「慈」はパーリ語で「マイトリー」と
 いい、「悲」は「カルナー」という。
  たとえるなら、父親が息子に罪を償って立派に更正しろ、
 共によりよい生をいきていこうと激励するのが「慈」であり、
 お前が地獄に行くなら、自分も一緒についていくよと黙って涙
 を落とす母親のような感情が「悲」です。

《印象に残ったキーワード》
・委任社会
・暗愁
・人は泣きながら生まれてくる(シェイクスピアの戯曲「リア
 王」の台詞)
・同治と対治(仏教用語)

他力 (講談社文庫) Book 他力 (講談社文庫)

著者:五木 寛之
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『今をどう生きるのか』五木寛之 松原泰道 ★★★☆☆

〇考えてもしょうがないことをついつい考え込んでしまうこと
はありませんか。「明日の会議うまくいくだろうか」「自分は
人事異動するのだろうか」など自分の力ではどうしようもない
のだけれど、ついつい考え込んでしまう。そんなときこのエピ
ソードが心に響きました。

ブッダは死後どうなるのかについては一切口にしなかったとい
います。「もっと大事なことを問え」というのです。だれも経
験したことのない死後の世界を議論することは観念の遊戯で果
てがない。そんなことに時間を使っていては、いまという大事
なときが過ぎ去ってしまう。

〇自分だけが苦しくて辛いと感じたときは、こう考えるとほん
 の少しかもしれませんが軽くなるかもしれません。

 著書の松原さんは、自分だけに与えられた悲しみや苦しみを味
わうことで人々の苦悩がわかるのではないかといいます。そし
て、他人の気持ちが理解でき、やさしくなれるのです。苦しみ
を感じることで人さまの役に立てるということです。

〇私は同じ本を何回も読むことはめったにありません。でも、
 同じ本を複数回読む意味ってこういうところにあるのかもしれ
 ないと改めて気づかされました。

 著者の五木さんは、その時代その時代に応じて仏教という宝の
山から自分たちの生きる指針を取り出すことが重要ではな
いかというのです。

〇科学的に証明されていなからこそ「信じる」ということにな
 る。客観的に証明されていなくても自分の感覚を頼りに「信じ
 る」ことも必要なんだと思うことができた言葉です。
 五木さんの言葉です。
 宗教的なことや奇跡的なことを科学的に説明しようとする人が
 いるが、合理的だったら信じる必要はない。納得すればいい。
 理解できないことだから信じるのである。

〇以下、二つは私も実践している考え方です。

・ある仏教の学者は、ブッダの最後の説法を一言で言うと「
 頼心を捨てよ
」と解釈している。

・松原さんは、本当の締切日から一日早い日を締切日と考えた
 り 10時に出かけるときは9時に出かける心づもりをしてい
 るといいます。それを「心の夏時間(サマータイム)」と表現 
 しています。

いまをどう生きるのか―現代に生かすブッダの智慧 Book いまをどう生きるのか―現代に生かすブッダの智慧

著者:五木 寛之,松原 泰道
販売元:致知出版社
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『いまを生きるちから』五木寛之 ★★★★★

 本書はNHKの番組「人間講座」で五木さんが語られた
内容が文章化されたものです。
 これまで数々のエッセイに書かれた五木さんの考えが簡潔に
まとめられている印象を受けました。
 
 五木さんの考え方に感化され10年くらいが経ちますが、今
でも五木さんの考え方には同感する部分が多く、生き方に迷った
ときの私の「人生の指針」です。

《ポイント》

○自殺者は年間3万2000人以上を超え、年々増え続けてい
 る。年に4回阪神淡路大震災が起きているのと同じくらいの死
 亡者。

○自殺者が多い原因には、日本人の心が軽くなり、心が乾き
 きっていることがあげられる。

○日本人の乾ききった心に水を注ぐことが必要。その水という
 のは、情や感傷、慈悲の「悲」などのセンチメンタルな感情。

○環境問題には、人間と同じように虫や水、草、木、山などに
 も命が宿り、それぞれが命ある尊い存在である。だからこそ共
 生しなければいけないという考え方が必要。それは日本人が昔
 から持つ「アニミズム」の心である。「地球にやさしい○○」
 なんていうのは人間第一主義の傲慢な考え方である。

○深い縁で結ばれているはずの親が子を虐待し、子が親を殺す
 事件があとを絶たない。夫婦の絆もゆるくなってきている。そ
 れは、自分の選択で親子や夫婦になったという考えがあるから
 そうなるのであって「他力」でそうなったと思えば、そんな痛
 ましい結果にはならない。自分の力だけではなく目に見えない
 大きな力によって親子や夫婦になったと考えなければいけない
 のではないか。

○日本の大変革期は「明治維新」と「敗戦」。今は第三の大変
 革期にいる。平時ではない今だからこそ、「今をどう生きるか」
 という準備が必要であり「今を生きる力」が必要なのだ。

いまを生きるちから (角川文庫) Book いまを生きるちから (角川文庫)

著者:五木 寛之
販売元:角川グループパブリッシング
発売日:2008/12/25
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『人間の覚悟』五木寛之 ★★★★★

 これまで期待しないで生きてきた。
 社会に期待しないし、友人にも恋人にも期待しない。
 会社にも期待しないし、結婚した今では、妻にも子ども
にも期待しない。
 
 例えば、妻だから家事をするのは当たり前と期待しない。
子どもは親孝行するもんだとは期待しない。社会や国が
自分を守ってくれるなん期待しない。
 
 虚無的で後ろ向きな考え方だと思われるかもしれないが、
決してそうではない。
期待していないからこそ何事も自分でしっかりやろうと
思う。はなから期待していないので、期待した結果が得
られず腹がたつということもない。期待していなから批
判的になることもない。もし、何かいい結果が得られた
のならば、期待していなかったから、その分喜びも大き
い。

 10年以上そうやって生きてきたが、この考え方には随
分助けられたと思っている。

 こういった考え方をするようになったのは、五木寛之さ
んのこれまでの著書の影響が大きい。
 
 本書は、これまでの著書以上に、「期待しない生き方」
に焦点を絞っていると思う。

 期待しないと覚悟して生きていく。
 これが生きにくい現在を生きていく私の哲学である。
 本書を読んで再確認できた。

《本書のポイント》

○諦める(明らかに究める)覚悟をもつ。

○自分が信じると選択したことに裏切られても後悔しな
 いと覚悟する。

○善意は伝わらないと覚悟する。

○人生は不合理だと覚悟する。

○一件落着主義はウソであると覚悟す。

○国や法律は守ってくれないと覚悟する。

○健康な体は決してないと覚悟する。

○最低限から考えてみる。

○体の声に従うことが大切。

○「中道」の考え方が大事。一方に偏らないという意味
 ではなく、両方大事という考え方。

○人は生きただけで偉大なのだ。

○いいことをしてもひけらかさない。(中国の「隠徳」
 という考え方)本田宗一郎氏の苦学生への奨学金の例

○資本主義は終焉の時期が来ている。

○統計などの数字よりも自分の実感を信じる。

○「格差」は、あることが問題ではなく定着すること
 が問題。

○躁から鬱の時代(下降していく時代)に入った。

○下降する社会と上昇しようとする摩擦が若者が感じる
 閉塞感につながっている。

○日本人は文明は西洋から取り入れたが魂までは取り入
 れていない。

人間の覚悟 (新潮新書 287) Book 人間の覚悟 (新潮新書 287)

著者:五木 寛之
販売元:新潮社
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『息の発見』五木寛之/玄侑宗久 ★★★☆☆

 高校生のときに所属していたサッカー部の練習は、必
ず最後にグランド10周があった。
 距離にして3キロくらいだったと思う。練習でヘトヘ
トになった体でグランドを10周走るのは結構キツイ。

 何かよい方法がないものかといろいろ考えた。

 そのひとつが呼吸の仕方であった。
 いろいろな呼吸を試してみた。2回スッスッと吸って、
同じリズムでスッスッと2回はく。2回スッスッ吸って
スーっと1回はく。鼻で吸って鼻ではく。鼻で吸って口
ではく。

 いろいろ試してみて思ったのは、長距離を走っていると、
呼吸の仕方で疲労の度合いがずいぶん変わるのである。

 走るリズムと呼吸のリズムが同調すると、心地よく走
れるときがある。

 この状態に達すると今までキツかったのが気持ちいい
と思えるのだ。

 この体験から呼吸が身体に与える影響を大きいことを感
じ、呼吸に気を使ったものである。ただ、それはスポー
ツをしているときだけのこと。

 ふだんの生活ではとくに意識してこなかったが、齋藤
孝氏の『呼吸入門』を読んで、ふだんの生活でも意識す
るようになった。

 ただ、それもだんだんなくなり、本書を読んで再度、
呼吸の身体に与える影響を認識し、呼吸に目を向けるよ
うになった。

 本書によれば、呼吸をするときに意識をもっていったと
ころの酸素交換が盛んになってあたたかくなるらしい。
しかも下痢や風邪を治してしまうこともあるという。

 呼吸法ははるか昔から身体を健康に保つひとつの方法
として注目されており、かのブッダも呼吸法を説いて
いるくらいである。

 ただ、呼吸法といっても難しく考える必要はないと思
う。本書で五木寛之氏が言っているように自分が気持ちよい
方法でやればいいのである。

《ポイント》

●人間の生命活動を考えるとき、一番の基礎は呼吸。水
を飲まなくても1週間は生きられるが、息ができなくて
はすぐに死ぬ。

●ふだん息をほとんど意識することがないが、日常のさ
まざまな場面で知られざる息のはたらきがある。

●息の発見とは、いのちへの気づき

●呼吸法はどれが正しいというのはない。自分の体の声
を聞きながら、自分にとって一番いい息づかいを自分で
見つけるしかない。

書きとめておきたい言葉》

●息という文字は、「自」と「心」と書くように、その
ときのこころの状態を映すもの
 「息が合う」「息が通う」「息がかかる」

●息を吸うときには、息を吸っている自分に気づこう。
吐いているときには、吐いている自分に気づこう。喜び
を感じながら意気をしよう。心を感じつつ、心を静めて
呼吸をしよう。心を安定させ、心を自由にとき放つよう
に息をしよう。そして、無常を感じ、生の消滅を感じ、
自己を手放すことを意識しつつ呼吸しよう(ブッダの言
葉)

《興味深い話》

●~脳死は人間の本当に死といえるのか~
 ニワトリの卵とウズラの卵の書くを入れかえて、ニワ
トリのヒヨコにウズラの羽と脳が発生するようにした実
験。
 ふ化するとふるうのヒヨコは黄色いがウズラの核を
移植されたほうは頭が黒くて、ウズラの脳と羽を持って
生まれてくる。
 ヒヨコはピーピー鳴くがウズラを移植されたほうはピ
ッピッピと鳴く。だんだんニワトリとしての免疫の体系
が成長してくると、この翼は自分の翼ではない、非自己
であると否定する。やがて翼が腐って落ちる。
 その次に、この脳は私の脳ではなないと免疫系が否
定する。すると脳が腐ってヒヨコは死ぬ。
 
 免疫系が優位に働くということは、脳死は人間の死で
はなくて、免疫の体系が活動を停止したときが、人間の
死ではないかという考えになる。
           (『免疫の意味論』多田富雄)

息の発見 Book 息の発見

著者:五木 寛之,玄侑宗久
販売元:平凡社
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『大河の一滴』五木寛之 ★★★★★

(99年読了) 

 この本との出会ったのは、今から10年くらい前の
大学4年のときだった。

 それからの生き方を大きく変えた大切な本である。
 根っからのマイナス思考で、悶々としていた私に
そっと手を差し伸べてくれた思いだった。

それが、本書にあったマイナス思考からの出発という
考え方であった。この考え方にはずいぶんと救われた。

 他人に期待しない。人生に期待しない。

 少し虚無的ではあるが、私にはすっと腹におち、肩の
荷が軽くなった。魔法の言葉をもらったようで、目の前
がぱっと広がった思いだった。今でもこの考え方は、
私の思想の根本をなしている。
 
 また、世の中を鋭く切り取る著者の視点は、新鮮だっ
た。当時、私は世の中で起こった出来事をただやる過ご
すだけで、自分なりの考えや思いなど考えようともしな
かった。

 本書を読んでからは、世の中の出来事について目も
向けるようになり、自分なりのとらえ方を意識するよう
になった。人生の幅が広がる思いだった。

 それからというもの、著者の虜になり、今まで出版
されているエッセイ関係の本はすべて読み漁り、新刊は
今でも読み続けている。

 それだけでは、満足できず著者の講演会などがあると
東京だろうが大阪だろうが追っかけるようになった。

 さらに、昨年、念願の五木氏とことばを交わすことが
できたのだった。

 今でこそ完全に五木氏の信者である私だが、その出発点
はこの本だったのだ。

《元気が出る言葉》

○結局は、時間が解決してくれるのを待つしかないのだ。
 時の流れは、すべてを呑み込んで、けだるい日常生活の
 くり返しのなかへ運びさってゆく。待つしかない。
 それが人生の知恵というものだろう。

○人生というものはおおむね苦しみの連続である、と、
 はっきり覚悟すべきなのだ。

○何も期待しない覚悟で生きる。
 親は子に期待してはいけない。子も親に期待すべきで
 はない。人を愛してもそれはお返しを期待することで
 はない。(中略)
 だから夫は妻に期待すべきではない。(中略)自然に

 持続することを無意識に期待するのは、まちがっている。

○私という自分二つある。(略)すべての人間と共通して
 いる自分と。だれとも異なるただひとりの自分。その
 二つの自分は、ときとして対立し、ときとして同調する。

○生きた、ということに人間は値打ちがある。どのように
 生きたかということも大切だけど、それは二番目、三番目
 に考えればよい。生きているだけで人間は大きなことを
 成し遂げているのだ。

○マイナス思考のどん底のなかからしか本当のプラス思考は
 つかめない。

《書きとめておきたい言葉》

○私たち哺乳類は一生のあいだに約5億回の呼吸をあたらえ
 られて生きている。
(「ゾウの時間ネズミの時間」本川達雄)

○人間の傷を癒す言葉には二つある。ひとつは「励まし」で
 あり、ひとつは「慰め」。
 慈悲の「慈」が励まし、「悲」が慰め。

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『遊行の門』五木寛之 ★★★★☆

 私は福祉を仕事にしているので、高齢者と接する機会は
多い。
「面倒かけてすまないね」と本当にすまなさそうに詫びる
高齢の方は多い。
 元気な方でも、人の助けを得なければいけない状態が
来ることに恐れおののいている。 
 それは、当たり前のことかもしれない。
 ただ、本書の言う「遊行期」、子どもに還っていく時期
なのだ。
 本人よりも関わる我々が当然のこととして理解していな
ければいけない。

 

「遊行期」、すなわち人生の最期は、子どもに還って
遊び、戯れる時期であるという。

 体が不自由になり、人の助けがないと日常生活がおくれ
なくても、まして下の世話をしてもらうことになっても、
それはあたりまえのことなのだ。

 幼な子はみんなそうなのだ。
 何も恥じることはない。人はみんな人の世話になって
下の世話もしてもらい、育ってきたのだ。

 子どもに還るとは、その道を戻っていくことなのである。

 本書は、遊行期の話だけではない。格差社会や鬱の話し、
鬱と躁の考え方で時代をみた、著者の独自の視点もたくさん
盛り込まれている。

 以下、印象に残った言葉を自分の言葉でまとめておく。

《書きとめておきたい言葉》

○格差社会が最近話題となるが、そもそも人間は産まれた
 ときから格差を背負っている。

○人は生きているだけで価値がある。

○ブッダは自分の思想を書物に表していない。
 人々に語ったのだが、独白ではないことが重要である。
 文章であっても独りで書くものだ。
 あくまで対話、質問に対しての答えが重要としている。

○最近の医学は、細分化し、何かと人間生活の乱れに対し
 ひとつひとつ病名をつけ、病気のうちに入れてしまう
 傾向がある。高血圧しかり、ウツ気分しかり、メタボ
 しかり。

○明るさと暗さは人生の両輪。

○生きることは、楽しさだけではなく、鬱という思い荷物
 を背負って歩くことと覚悟する。

○常に変化し、老いていく体と心をできる限り安定した
 状態に保つための工夫が養生である。

遊行の門 Book 遊行の門

著者:五木 寛之
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