★笑える

『かつどん協議会』原宏一 ★★★★★

 表題作の他、2編が収録されています。
 なかでも私のお気に入りは「くじびき翁」。
 政治をくじびきで決めようという理論(ロトクラシー)がメディア
を騒ぎ立てるという話なのですが、最初はアホらしく思っていま
した。

 でも読み進めていくうちに説得力のある理論と思えてくるから
不思議です。
 確かに、これだけ価値観が多様化している世の中で全員賛成
の政策なんてありません。賛否両論あって当たり前。
 それは、どれが正しいなんて誰もわからないということです。
だったら運という名のもとにくじびきで決めてしまおうという
考え方もありなんじゃないかと思えてきます。
 著者の発想力にはいつも驚かされますが、今回もそれは変わ
りません。

 もう一つの「メンツ立てゲーム」は、「謝罪士」なる謝罪の
プロが活躍する話しです。「謝罪士」という職業。奇想天外な
発想というだけでは終わらせてはもったいないほど、あっても
よさそうな職業です。

 最後に表題にもなっている「かつどん協議会」。
 一見、バカらしく思えてくる話しですが、それは目先しか見
えていないということかもしれないと読後に思いました。これ
は、自分の職場の会議でも同じような現象が起きているのでは
ないだろうか。振り返ってみるとまさに「かつどん協議会」と
思わずにはいられません。それは日本の政治もそうかもしれま
せん。もっと言ってしまえば、世の中が「かつどん協議会」の
世界観に凝縮されていると言っても言い過ぎではないのではな
いでしょうか。

 本書に限らず著者の発想力にはいつも敬服するばかりです。

かつどん協議会 (集英社文庫) Book かつどん協議会 (集英社文庫)

著者:原 宏一
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『あの頃ぼくらはアホでした』東野圭吾 ★★★☆☆

 東野圭吾氏の作品はこれまで『白夜行』や『幻夜』、『さま
よう刃』などを読んできましたが、どれものめりこみました。

 一気にひきつけられる作品ばかりで、そんな作品を何冊も書い
ている東野圭吾氏に興味が湧きました。

 そこで、自身の小学生から大学生時代のエピソードをまとめた
エッセイである本書を手に取りました。

 意外だったのが、東野氏は本嫌いだったということです。小説
の類はもちろんのことマンガすらほとんど読まなかったようで
す。文学少年の読書家がそのまま物書きになったというイメー
ジを持っていましたがそうではありませんでした。しかも、学
生時代は普通の学生と同じようにクラブ活動やコンパをし、な
んら自分と変わらない生活をしていたことで身近に感じました。

 さらには愛知県の企業に就職をし、働きながら江戸川乱歩賞を
目指していたということを初めて知りました。

 本書は、東野圭吾氏に少しでも興味がある方は、楽しめる本だ
と思います。

あの頃ぼくらはアホでした (集英社文庫) Book あの頃ぼくらはアホでした (集英社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:集英社
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『天下り酒場』原宏一 ★★★★☆

08/01/30読了

 ありえない設定と思いながらも読んでいくうちにあり得るか
もという気になってくる。
 
 齋藤孝さんがいうアイデアの出し方のひとつ、一つの型に別
のものを組み合わせる「f(x)」の考え方が使われているように
思った。
 アイデアを出す上で勉強になる小説だった。

天下り酒場 (祥伝社文庫) Book 天下り酒場 (祥伝社文庫)

著者:原 宏一
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『大金星』 水野敬也 ★★★☆☆

 女の子としゃべったことのない大学生の御手洗が、野垂れ死に
そうな変な九州人の春男を助けた。それがきっかけで、はじめて
街で女の子にしゃべりかけることができ、コンパでも気に入った
女の子と楽しくしゃべることができた。
 ただそれだけのストーリー。
 御手洗と春男のかけあいには爆笑ですが、話の展開からしたら
非常に単純です。

 ただ、『バカバカしいと思えることでも、行動する意志を持つ
ことで、新しい自分、新しい世界が見えてくる』ということを改
めて気づかされます。そう、改めて気づくのです。何か新しいこ
とを得たわけではなく、自分のなかに眠っていたものが少し目を
覚ました感覚を味わいました。

 一歩前へ踏み出してみたいけど踏み出せない。そんなときは御
手洗と春男を思い出そうと思います。

 コンパの場面では、自分の大学時代のコンパを思い出しました。
独特な雰囲気がありますよね。自分で企画したときは、相手の女
性のメンバーひとりを知っているので、なんとなく心の余裕があ
るのですが、呼ばれて行くときは結構緊張しました。
 今だから御手洗と春男のコンパに向かう姿勢は笑えてきます
が、10年前だったら笑いながらもコンパに立ち向かう同じ男と
してがんばれよって握手でもしたくなっていたかもしれません。

《印象に残った言葉》

●「他人から何かを言われて傷つくのは、自分が思い描く理想像
 とのギャップがあるからでごわす。しかし、シェイクスピアも
 こう言うておりもす。《目は自分を見ることができない。何か
 他のものに映して初めて見えるのだ》つまり他人の意見や反応
 もまた自分の一部なのでごわす。」

●「おいどんは今まで御手洗どんの〝隣〝で支えてまいりまし
   
た、しかし御手洗どんの〝後ろ〝には、これからの御手洗
   どんをずっと支え続ける、〝過去の自分〝という最大の味
   方がおるのでごわす」

●「状況?何が状況だ。俺が状況をつくるのだ」
 (ナポレオン『語録』)

●「愛する-それは互いに見つめ合うことではなく、一緒に同じ
 方向を見つめることである」
 (サン・テグジュペリ『人間の大地』)

大金星 Book 大金星

著者:水野 敬也
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『怪笑小説』東野圭吾 ★★★★★

 2ヶ月前に子どもが生まれた。男の子である。
 親がやっていたスポーツを子どもにもやらせたい。大半
の親はそう思うのであろう。かくゆう私もその大半であ
る。が、少し不安がよぎる。
 
 サッカーを本格的に始めたのは小学校の5年生だから、
かれこれ20年くらいがたつ。今だに続けているのだが、
振り返ってみてもたいした選手ではなかった。その親の
子がサッカーをしたところで、先はたかがしれている。
だったら、もっと可能性のある、トップになれるような
ものをやらせてあげるのが子どものためではないか。と
いう思いがよぎる。

 ただ、子どもがサッカーをすれば、自分も一緒になって
やれる。入れ込み具合も他のものに比べたら比較になら
ないのははっきりしている。だからサッカーをさせたい
のだがどうしたものか。

 トップをとれなくてもいいじゃないか。サッカーとい
う団体スポーツから学ぶものはたくさんあるはずだ。
 という後押しするような声が聞こえる。
 反論はしないが、弱肉強食がサッカーの世界。どの
スポーツでもそうだと思う。うまい奴が上で下手な奴が
下なのだ。上になる可能性が低いのにその世界の扉を開
けるのは少し勇気がいる。自分が下とまでは言わないが、
上ではなかったし、下の選手の苦労をたくさん見てきた
から。
 子どもに選ばせればいいじゃないかと思わないでもない。
でも、選べるような年齢になる前にはやらせたい。今は
生まれて2ヶ月。あと、三年くらいは考える時間があり
そうなので、今はとりあえずおもちゃのサッカーボール
を買うだけにしておこうと思う。
 
 数年後は、本書のなかの短篇のひとつ「一徹おやじ」の
父親のようになっていないとも言い切れないが・・・。

本書の短篇のうち私のベスト3を選んでみた。

〇満員電車の乗客の本音を巧みに表した「欝積電車」。

〇子どもをプロ野球選手にしたい父親の熱血指導に苦笑
 する「一徹おやじ」。

〇何かに夢中になれるってすばらしい。たとえこんな結
 末が待っていても。「おっかけばあさん」

怪笑小説 (集英社文庫) Book 怪笑小説 (集英社文庫)

著者:東野 圭吾
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『床下仙人』原宏一 ★★★★★

 サラリーマン社会の苦悩を奇想天外なストーリーとユー
モアで包み込んだ、
  笑いながらもサラリーマン社会の現状を考えさせられる
社会人として同感できる小説だった。

 表題作を含む5扁の短篇小説だ。

  ・床下仙人
  ・てんぷら社員
  ・戦争管理組合
  ・派遣社長
  ・シューシャイン・ギャング

 思いもよらない奇想天外さが三崎亜記の『バスジャック』に
通ずるとこともあったが、サラリーマンをテーマとしている点で
サラリーマンの自分にとっては、より現実感があり共感できた。

 とくに派遣社員と一緒に仕事をしている正社員の自分とし
ては、「派遣社長」を笑いながら読んだものの、現実に起こ
ったら?と思わず身震いをしてしまった。
 
 もう一度読んでみたい本のひとつとなった。

床下仙人 (祥伝社文庫) Book 床下仙人 (祥伝社文庫)

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『オンリー・ミー私だけを』三谷幸喜 ★★☆☆☆

何でもない日常をたんたんと描いたエッセイだ。
 
 著者はテレビ業界の人なので、素人ではうかがい知る
ことができない、芸能ネタがちりばめられているかと
思えばそういうわけではない。

 まだ売れ出す前の頃の著者の普通の日常を切り取った
エッセイだ。 
 著者いわく「普通の人が普通の感性で書いた世界初の
エッセイ」なのだ。

 ただ、照れ屋で八方美人の著者らしいおもしろいモノの
見方がたくさんあってクスリと笑える。

 テレビドラマ「振り返れば奴がいる」の脚本を書いて
いた頃のエピソードもあって、「振り返れば奴がいる」
ファンの私としてはうれしかった。

 ただ、全体的には退屈してしまう内容も多く、拾い読み
になってしまった。

オンリー・ミー―私だけを (幻冬舎文庫) Book オンリー・ミー―私だけを (幻冬舎文庫)

著者:三谷 幸喜
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『陰日向に咲く』劇団ひとり ★★☆☆☆

  構成は練られていて、オチがしっかりあるもののどこか
物足りなさを感じた。

 ストーリーはうまいが、なんとなく物足りない。
 それが何なのか明確にはわからないが、表現の浅さだっ
たり、登場人物の人間性の深みのなさだったりするのかも
しれない。

 ただ、芸人が書いた小説であることを考えれば、素人と
は思えない作品だ。ただただ驚く限りである。
 いかにプロの小説家がスゴイかということを改めて感じた。 

陰日向に咲く (幻冬舎文庫 け 3-1) Book 陰日向に咲く (幻冬舎文庫 け 3-1)

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『毒笑小説』東野圭吾 ★★★★☆

 思わずニヤリとしてしまう短編ばかり。笑いたいとき、
気持ちを軽くしたいとき、そんなとき手にとりたくなる
本だ。
 収録されている12篇のうち印象に残ったものを3つ選
ぶとしたら、次の3つだろうか。

 塾や習い事に忙しい孫を自由に遊ばせるために誘拐を企
てた「誘拐天国」、
 責任を他人におしつえけようとする気持ちを巧みに表現し
責任転換の連鎖を描いた「誘拐電話網」、
 笑いからせつなさへ感情をゆさぶられる「つぐない」。

 巻末には京極夏彦氏との対談もあり、ミステリー作家と
は別の顔の著者(東野圭吾氏)を知ることができる。

毒笑小説 (集英社文庫) Book 毒笑小説 (集英社文庫)

著者:東野 圭吾
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『黒笑小説』東野圭吾 ★★★★☆

~いろんな種類の笑いが味わえる~

 一篇、20~30ページの短編集。
 さまざまな種類の笑いが詰まった小説だ。
 
 条件設定だけで笑ってしまった「巨乳妄想症候群」。
 
 笑いながらも感心してしまった。アイデア商品の
アイデアをさらに活かしたアイデア商品を作ってしま
う「インポグラ」。

 男性ならだれしも笑える「モテモテスプレー」。
 
 笑いながらも男性ってつらいな~としんみりしてし
まった「ストーカー入門」。

 小さい子どもを持つ親なら必ず共感する「臨界家族」。

 個人的には、最初の4篇が一番笑えた。
 この4篇だけ、関連性をもった内容で、売れない小説家と
新人賞をとった小説家をテーマにした小説だ。

 誰しもがもつ内心と外向きの顔のギャップ。それが見事に
描かれていて、自分も同じだと思いながらも笑いが抑えきれ
なかった「もうひとつの助走」。

 ラストでは、思わずうなってしまった。そして、あとから
笑いがこみあげてきた「選考会」。

 ちょっと気持ちがへこんだときには、20~30分この本を
手にしてみれば、少しは元気になるかも。

黒笑小説 (集英社文庫 ひ 15-8) Book 黒笑小説 (集英社文庫 ひ 15-8)

著者:東野 圭吾
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