『かつどん協議会』原宏一 ★★★★★
表題作の他、2編が収録されています。
なかでも私のお気に入りは「くじびき翁」。
政治をくじびきで決めようという理論(ロトクラシー)がメディア
を騒ぎ立てるという話なのですが、最初はアホらしく思っていま
した。
でも読み進めていくうちに説得力のある理論と思えてくるから
不思議です。
確かに、これだけ価値観が多様化している世の中で全員賛成
の政策なんてありません。賛否両論あって当たり前。
それは、どれが正しいなんて誰もわからないということです。
だったら運という名のもとにくじびきで決めてしまおうという
考え方もありなんじゃないかと思えてきます。
著者の発想力にはいつも驚かされますが、今回もそれは変わ
りません。
もう一つの「メンツ立てゲーム」は、「謝罪士」なる謝罪の
プロが活躍する話しです。「謝罪士」という職業。奇想天外な
発想というだけでは終わらせてはもったいないほど、あっても
よさそうな職業です。
最後に表題にもなっている「かつどん協議会」。
一見、バカらしく思えてくる話しですが、それは目先しか見
えていないということかもしれないと読後に思いました。これ
は、自分の職場の会議でも同じような現象が起きているのでは
ないだろうか。振り返ってみるとまさに「かつどん協議会」と
思わずにはいられません。それは日本の政治もそうかもしれま
せん。もっと言ってしまえば、世の中が「かつどん協議会」の
世界観に凝縮されていると言っても言い過ぎではないのではな
いでしょうか。
本書に限らず著者の発想力にはいつも敬服するばかりです。
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かつどん協議会 (集英社文庫) 著者:原 宏一 |
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