★不思議な世界

『時生』東野圭吾 ★★★★☆

 著者の著作のなかでは、本書は比較的謎解きの要素が少ない
作品のような印象を受けました。謎を解いていくというおも
しろさが全くないというわけではありませんが、どちらかと
いうと男同士の奇妙な友情におもしろさを感じました。

 この奇妙な関係がこの物語のミソなのですが、実際、自分
の周りにも同じことが起こっていたら・・・という現実離れし
た想像をしてしまいました。でも、本当に現実離れと言える
のだろうか。

「いくつかの魂は時代を飛び越え、未来から来た魂の助けを
借りて、人は歴史を築いてきたのかもしれない」という主人
公の言葉は、想像の域を超える可能性を考えさせられるので
す。

 時代を超えた人間関係。そんな視点で日々生活してみたら
楽しいかもしれませんね。

 そんな斬新な視点を与えてくれた作品でした。

時生 (講談社文庫) Book 時生 (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
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『パラレルワールド・ラブストーリー』東野圭吾 ★★★★☆

「自分」という存在は、自分自身の「記憶」と他人との関係
で成り立っている不安定なものだと気づかされました。

 そのどちらかが不安定になると「自分」という存在を信じる
ことができなくなってしまうのです。
 物理的な「モノ」の存在に比べるとずいぶん不安定なもので
す。

 言うまでもなく「記憶」は、自分が自分であるために重要な
ものです。だとするならば、「思い出」に浸る、というのは
少し後ろ向きな気もしますが、自分自身の存在を確認するに
は欠かせないことだと思います。

パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫) Book パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
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『グラスホッパー』伊坂幸太郎 ★★☆☆☆

 人間は哺乳類じゃなくて虫に近い。こんな内容の出だしで始
まる本書を出張で東京へ行く新幹線の中で読んだものですから、
行く先々で人間が虫に見えてきました。
 新橋から銀座へ歩く道は、日曜日だというのに意外に人がほと
んど歩いていません。銀座の中心街には肩と肩が触れ合うくら
いの人だかりです。甘い匂いを発する有名菓子屋や誰もが羨む
有名ブランド店、こうこうと光輝く街灯の数々。そんな甘い香
りに惹かれて自然と人々は吸い寄せられるのです。甘い蜜があ
るところに虫は密集するのです。ネオンや街灯に引き寄せられ
るのです。
 そんなことを思いながら、ホテルに戻って続きを読み始めま
した。

《印象に残ったセリフ》

○「自殺する奴っていのが大嫌いなんだ。人間だけだぜ逃げる
 ように死ぬのは。偉そうじゃねえか。どんなに酷い環境に置
 かれたって、動物は自分から死のうとしねえよ。自分たちが
 生き残るために、他の動物がどれだけ犠牲になったか知って
 るからだ。人間ってのは、 傲慢だよ。」

○「今、この国では1年間に何千人もの人間が、交通事故で死
 んでいる」(略)「テロリストだって、そんなに人は殺さな
 い。無作為に、1万人近く殺すテロリストなんていない。
 だろ?負傷者を含めれば、もっとひどい数字になる」(略)
「それなのに、車に乗るのはやめよう、とは誰も言い出さない。
 面白いものだ。結局人の命なんて二の次なんだ。大事なの
 は利便性だ。命より利便性だ」

(以下、ネタバレ注意)

《ストーリー》

 三人の主人公の視点で話が展開される。妻を轢き殺され、そ
の復讐を果たそうとする鈴木。自殺させる殺人者、鯨。一家殺
人を得意とする若き殺人者、蝉。
 鈴木は、妻を轢き殺した男の会社「令嬢」に潜入するが、男
は「押し屋」によって車に轢かれ死亡する。

  会社の命令で押し屋を追う鈴木。押し屋を見つけ名を馳せ
ようとする蝉。押し屋を殺すことで、過去の苦い思いを清算し
ようとする鯨。
 別々の人生を歩んでいた三人が「押し屋」をターゲットに次
第に重なり始める。

押し屋の自宅に潜り込んだ鈴木だったが、そこは家族円満の
家庭だった。
しかし、それは偽装家族で、自宅まで追われるように計算づ
くしたものだった。その目的は「令嬢」の壊滅だったのだ。

グラスホッパー (角川文庫) Book グラスホッパー (角川文庫)

著者:伊坂 幸太郎
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『鼓笛隊の襲来』三崎亜記 ★★★☆☆

08/05/06読了

 誰もが同じように見ていると思い込んでいるものも、実は、
見る者によってはまったく違う見え方をしているのかもしれ
ない。

 見ているのに見えていないものって、案外たくさんあるのか
もしれない。

 読後は、不思議な感覚が抜けず、こんなことを感じた。

鼓笛隊の襲来 Book 鼓笛隊の襲来

著者:三崎亜記
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