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2009年5月

『日本の難点』宮台真司 ★★☆☆☆

 抽象的な言葉が多く具体的なイメージがわかなかったため、
本書の内容を十分理解することはできませんでした。

 私の読書の大半は、自己啓発書やビジネス書、小説が中心
のためため、この手の本に対する読解力のなさを痛感させら
れました。

 それでも、本書を読んで新たな気づきが3つありました。

〇子どもをネットにつながせないとか、携帯電話を触らないと
 か、携帯電話の一部のサイトにつなげないよう制限をかける
 とか、いろいろネットや携帯電話が問題視されますが、それ
 は問題の本質的な解決になっていません。問題とすべきこと
 はネットコミュニケーションよりも体面コミュニケーション
 が脆弱になっていることです。

〇消費者として一般的に得られる受け身の情報は、企業のイメ
 ージ戦略(CMや広告など)に見られるような偏った情報が多
 く見られます。だから受け身の情報だけでなく積極的に必要
 な情報を得ようとする「情報補正」が必要です。

〇最近のマスメディアには俗情にこびた「ポピュリズム」がみ
 られます。後期高齢者医療制度や派遣切り、内定取消など単
 純に「正しいのは弱者、間違っているのは強者」という図式
 で報道されるのは何か間違っているような気がします。物事
 には表裏があるわけでその両方を報道するのがマスメディア
 であって善悪を判断するのは視聴者の方だと思うのですが。

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著者:宮台 真司
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『悪意』東野圭吾 ★★★★★

  犯人逮捕を主としたものではなく、犯人の動機をつきとめてい
く内容が斬新でした。
 
 しかも、真実と思っていたものが否定されたり、でもやはり真
実ではないだろうかという疑問が湧いたり、読者を飽きさせず、
いい意味で読者の想像を裏切られる楽しさがあります。

 また、記録の盲点をついたストーリー運びにも思わず膝をたた
きました。

(以下、ネタバレ注意)

《ストーリー》
 人気作家の日高が自宅で殺された。第一発見者は妻と幼なじ
みの野々口。
 刑事の加賀恭一郎によって犯人はすぐに野々口と判明した
のだが、動機がわからない。
 捜査の結果、野々口が日高のゴーストライターであり、野々口
と日高の前妻との不倫が原因であることが物的証拠からわかる。
 しかし、加賀は、物的証拠から動機解明までの理屈は通るの
だが、言い知れぬ違和感を感じていた。
 そこには、うその動機を作り上げる野々口の周到なトリックが
あったことがわかる。ゴーストライターであったかのようにみ
せるための手の込んだしかけ、不倫をしていたかのようにみせ
るための証拠の操作など、はじめから捕まることを前提とし、
容疑をかけられることから逃れるためではなく、ウソの動機を
創作するための綿密なトリックがあったのだった。
 それは、自分が捕まってまでも日高の人間性を貶めるため
のものだったのだ。

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『人生の目的』五木寛之 ★★★★★

'99/11読了

《印象に残った内容》

○人生の目的は、「自分の人生の目的」「自分だけの生きる
 意味」を探すこと。

○人間というものは思うとおりにならないもの。この世に生ま
 れた瞬間から不自由なものを背負って生まれてくる。

○自信を失いとことん無力感におしひしがれた人間が「他力」
 の光を感じることができたならば「自信」とは別の人間らしい
 姿勢が生まれる。

○「あ~ぁ 寝るより楽はなかりけり。うき世のばかが起きて
 働く」

○アウシュビッツ強制収容所から生還したフランクルの『夜と
 霧』によれば、ちょっとした生活の片隅に転がっているような
 ちいさなことも人間の生命力を支えていることを教えてくれる。

○子どもに親孝行は期待してはいけない。子どもは6歳から7
 歳までに十分親孝行をしてくれている。子どもによって親は喜
 びを与えられ、育てられ、生かされてきた。

○幸福に対して私たちは貪欲すぎる。今与えられているものだ
 けで感謝して満足することが必要。それは単にモノだけでなく、
 内面的な精神の部分についても言える。自分の足で歩ける
 こと、自分の耳で聞くことができること、当たり前と思わず、
 心から感謝してそのことだけでも幸せだと思わなければいけ
 ない。足るを知ること「知足」の考え方を持つ。

○生きていくうえで大きな力を持つものは、日々の生活のなか
 のつつましい喜び、過去の貴重な思い出。

○「あなたもいつか、これという理由もないのに、なんとも言
 えない心が萎えるような、そういう重いものを体の奥に感じる
 ときがあるものだよ。そういうものは<ハン>というのよ。そう
 いうときには、それをはね返そうと無理に、がんばれ、がんば
 れ、と肩肘をはってやってもしょうがない。自分はだめだと弱
 気になったり、不安になったりするのもやめなさい。そういう
 ときはハンの重さを背負ったまま、しゃがみこんで、肩を落と
 して、はーっ、胸の奥から大きなため息をつくといいんだよ。
 そうすると一瞬ではあるけれども、ハンの重さという、肩の上
 に鉛の板のようにのしかかってくる不思議な心の萎えるよう
 な重さが、ほんのちょっとふっと軽くなるような気がするものな
 んだ。はーっと大きなため息をつくことで、ハンの重さがちょっ
 と軽くなる。そうしたら、そこでもういっぺん立ち上がって歩
 いていけばいいじゃないか。」

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『偽善エコロジー』武田邦彦 ★★★★★

 これまで一般的にエコと言われてきたものを真っ向から否定
しています。
 
 例えば、レジ袋を使わない⇒ただのエゴ
     割り箸を使わない⇒ただのエゴ
     温暖化は二酸化炭素削減で防げる⇒防げない
     古紙のリサイクル⇒よくない 
     ペットボトルのリサイクル⇒やくない
     ダイオキシンの有害性⇒あぶなくない
 といった感じです。
 
 行政やリサイクル業者などのエコビジネスから端を発した利益
優先の誤った考えであり、それをマスコミが大きく取り上げる
ためこれまで信じられてきたというわけです。
 本書は根拠となる資料が多く、それなりに納得できる部分も多
かったです。

 ただ、本書が真実なのか、マスコミの情報が真実なのかはわ
かりません。

 大事なのは、情報に振り回されず、自分の感覚や信念を大切
にして、自分が信じた行動をとることが大切なのだと思いました。

 それはエコだけでなく、この情報社会を生き抜くための共通し
た考えでもあると思います。

 でも、たまにこういった常識を覆すような本を読むと、よい脳
の刺激、生活の刺激になります。

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書) Book 偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)

著者:武田 邦彦
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『他力』五木寛之 ★★★★★

('98読了)

《印象に残った内容》
○「他力とは、目に見えない自分以外の何か大きな力が、自分
 の生き方を支えているという考え方なのです。自分以外の他者
 が、自分という存在を支えていると謙虚に受けとめることが重
 要なのです。他力とは言葉を替えると、目に見えない大きな宇
 宙の力と言ってもよく、大きなエネルギーが見えない風のよう
 に流れていると感じるのです。自分ひとりの力でやったと考え
 るのは浅はかなことで、それ以外の目に見えない大きな力が
 自分の運命に関わり合いをもっている。」

○「わがはからいにあらず」という「他力」の思想を思うとき、
「なるようにしかならない」という安心感が訪れてくるのです。

○「他力」の思想はヨットにたとえられる。エンジンのついて
 いないヨットは無風状態では走ることができません。ヨットの
 上でどんなにがんばっても無駄。しかし、風が吹いてきたとき
 にヨットの帆をおろして居眠りをしていたのであれば走る機会
 を失ってしまいます。だから無風状態が続いても、じっと我慢
 し、注意深く風を待ち、空模様を眺めて風を待つ努力が必要な
 のです。他力の風が吹かなければ、ヨットのように私たちの日
 常も思うとおりに動かないものなのでしょう。

○物事がうまくいかないときは他力の風が吹いていないと思え
 ばよいのです。反対に、思った以上に物事がうまくいったとき
 は、過信するのではなく謙虚に他力の風に感謝すべきなのです。

○正直者がばかを見るのは当たり前、努力は報われるものでは
 ないのです。

○人間はただ無為に生きるだけでも大変なことです。生きるこ
 とそのものが大変なことなのです。どんな人生であってもそれ
 なりに一生懸命必死で行き続けてきたに違いないのです。

○「マイナスの勇気、失うことの勇気、あるいは捨てることの
 勇気。現実を直視した究極のマイナス思考から、本物のプラス
 思考が出てくるのです。」

○諦めるは明らかに極める、勇気を持って現実を直視すること。

○「ぼんやりと自分の意識の外を流れていくような聞き方をし
 ながらも、なお心に残るものこそ忘れないし、これこそ大事な
 ものであるということではないでしょうか。」

○「慈悲」という言葉の「慈」はパーリ語で「マイトリー」と
 いい、「悲」は「カルナー」という。
  たとえるなら、父親が息子に罪を償って立派に更正しろ、
 共によりよい生をいきていこうと激励するのが「慈」であり、
 お前が地獄に行くなら、自分も一緒についていくよと黙って涙
 を落とす母親のような感情が「悲」です。

《印象に残ったキーワード》
・委任社会
・暗愁
・人は泣きながら生まれてくる(シェイクスピアの戯曲「リア
 王」の台詞)
・同治と対治(仏教用語)

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『流星ワゴン』重松清 ★★★★★

 小学生の高学年くらいの歳の息子へ接する父親の大変さを改
めて感じました。

 良かれと思って言ったことが息子を傷つけることになってし
まったり、励ますつもりがプレッシャーをかけてしまったり、
なかなかうまくいかない父親の苦悩を感じる物語でした。

 私もあと十数年後には同じ思いをするのかもしれません。
 でも、この小説に出てくる3組の親子を見て、心に決めた
ことがあります。それは、つねに息子に対する素直な気持ち
を表現するということです。素直になること、それが一番だと
思いました。

 父親として、男としてこうした方がいい・・・、と父親や男を
演じがちですが、そんなことは重要じゃない。とにかく自分の
気持ちを素直に表現して息子に接する。そういう気持ちを持ち
続けよう、と父親になって1年も経っていない新米父親ですが、
私は思ったのです。

流星ワゴン (講談社文庫) Book 流星ワゴン (講談社文庫)

著者:重松 清
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