« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »

2009年3月

『会社に人生を預けるな』勝間和代 ★★★☆☆

 著者が言いたいことは、この二つだと思います。
 日本の停滞の原因は、つきつめると「終身雇用制」にある。
 リスクに気づき、リスクとリターンを分析したうえで最適な
方法を判断する能力が必要であり、リスクの回避のみを考える
のはそれこそがリスクである。

 前者は、著者の主張に同感する部分も多くありましたが、強
者の考え方という感じも受けました。強者は知識と自信を持っ
て会社を渡り歩くことができるかもしれません。でもそういう
人ばかりでありません。何のとりえもない弱者が、終身雇用を
信じながら運よく入れた会社に必死しがみつく姿を想像してし
まうのです。
 ただ、そういう個々のケースではなく社会全体を見れば、日
本の閉塞感を打ち破るためには問題のある制度であるという考
えもうなずけます。でも、そうはいっても制度を変えることな
んてできないのが私のような一般人です。

 だから、前者について考えるのはほどほどにして、後者につ
いて思いをめぐらしてみました。すると私はけっこうリスクを
意識して生活していることを改めて再確認しました。

 そのうち3つほどご紹介します。
 まずは、一つ目。私は通勤かばんの中に常にハザードマップ
を入れています。いつ地震が起きても、最悪、徒歩で帰ること
を考えて常に持ち歩いているのです。
 
 二つ目はメガネとコンタクトを常備しています。ふだんはメ
ガネをかけていますが、割れてしまったときのために常にスペ
アのメガネと使い捨てコンタクトを通勤かばんの中に入れてい
るのです。
 
 三つ目は海外でのエピソードです。
 中国の上海へ旅行に行ったときのことです。
 帰国する日、ホテルから空港までガイドさんの車で送っても
らいました。道中、地図を眺めていたのですが、おかしなこと
に気づきました。利用する空港へ向かっているとは思えない方
角に向かっているのです。不思議に思ってガイドさんに尋ねる
と、別の空港に向かおうとしていたのでした。そう、上海には
国際線の空港がふたつあるのです。ガイドさんは私の空港券に
記載された空港ではなく、間違えて別の空港へ行こうとしてい
たのです。早めに気づいたので、ぎりぎり離陸時間には間に合
いましたが、危ないところでした。

 海外旅行はとかくガイドさんにすべてをまかせがちですが、
私はそうではありません。たとえガイドさんに連れて行っても
らうとしても、空港の場所はもちろんのこと、観光する場所や、
ホテル、食事をするレストランは事前に必ず地図で場所を確認
しておきます。

 まだまだリスクを考えた行動はたくさんあります。単なる心
配性と言われればそれまでですが、けっこう用心深く生きてい
るということを本書がきっかけで再認識しました。

会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書) Book 会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書)

著者:勝間和代
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する』杉山茂樹 ★★★★☆

 小学校2年生のときにはじめてサッカーのまねごとを始め、
5年生で地域のスポーツ少年団に入り本格的にサッカーを
はじめました。それから20年以上サッカーを続けています。
 
 しかし、長年酷使した足首が悲鳴をあげ、1年くらい前、医
者からしばらくサッカーを控えるように言われてしまいました。
苦悩した結果、やはりサッカーはやめられず、サッカーのミニ
版であるフットサルを細々と続けています。
 
 本書のテーマでもあるサッカーの戦術。
 戦術やフォーメーションは、これまで自分が所属していたチ
ームのものは一生懸命勉強しましたが、世界の流れや流行
についてはぜんぜん知りませんでした。そもそも今ではサッ
カーの情報はありふれていますが、Jリーグが始まる前、今
から15年くらい前はずいぶん限られたものだったのです。
 
 本書は、サッカーを戦術やフォーメーションからとらえ、日
本も含めた世界の流れを端的に学べます。サッカー観戦に
戦術やフォーメーションという視点を取り入れるきっかけに
なるかもしれません。
 
 著者は書名にもなっている「4-2-3-1」というフォー
メーションを推奨しているようですが、これは意見が別れる
ところだと思います。しかし、サッカーにあまり詳しくない方
が本書を読むと「4-2-3-1」がベストだと思うかもしれま
せん。また、監督や選手、観戦者、評論家など立場によって
も好みのフォーメーションは違うでしょう。私は高校選手権や
インターハイを真剣に目指した高校生のときに「4-4-2」
の菱形というフォーメーションを監督からたたきこまれたの
で、このフォーメーションが今でもしっくりきます。

4‐2‐3‐1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書) Book 4‐2‐3‐1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書)

著者:杉山 茂樹
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『いまを生きるちから』五木寛之 ★★★★★

 本書はNHKの番組「人間講座」で五木さんが語られた
内容が文章化されたものです。
 これまで数々のエッセイに書かれた五木さんの考えが簡潔に
まとめられている印象を受けました。
 
 五木さんの考え方に感化され10年くらいが経ちますが、今
でも五木さんの考え方には同感する部分が多く、生き方に迷った
ときの私の「人生の指針」です。

《ポイント》

○自殺者は年間3万2000人以上を超え、年々増え続けてい
 る。年に4回阪神淡路大震災が起きているのと同じくらいの死
 亡者。

○自殺者が多い原因には、日本人の心が軽くなり、心が乾き
 きっていることがあげられる。

○日本人の乾ききった心に水を注ぐことが必要。その水という
 のは、情や感傷、慈悲の「悲」などのセンチメンタルな感情。

○環境問題には、人間と同じように虫や水、草、木、山などに
 も命が宿り、それぞれが命ある尊い存在である。だからこそ共
 生しなければいけないという考え方が必要。それは日本人が昔
 から持つ「アニミズム」の心である。「地球にやさしい○○」
 なんていうのは人間第一主義の傲慢な考え方である。

○深い縁で結ばれているはずの親が子を虐待し、子が親を殺す
 事件があとを絶たない。夫婦の絆もゆるくなってきている。そ
 れは、自分の選択で親子や夫婦になったという考えがあるから
 そうなるのであって「他力」でそうなったと思えば、そんな痛
 ましい結果にはならない。自分の力だけではなく目に見えない
 大きな力によって親子や夫婦になったと考えなければいけない
 のではないか。

○日本の大変革期は「明治維新」と「敗戦」。今は第三の大変
 革期にいる。平時ではない今だからこそ、「今をどう生きるか」
 という準備が必要であり「今を生きる力」が必要なのだ。

いまを生きるちから (角川文庫) Book いまを生きるちから (角川文庫)

著者:五木 寛之
販売元:角川グループパブリッシング
発売日:2008/12/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『小泉純一郎の軍師飯島勲』大下英治 ★★★☆☆

 なぜ小泉内閣は長期政権を保てたのか。
 内閣がころころ変わる今だからこそ興味がわき本書を手にと
りました。
 ただ、本書だけで冒頭の疑問を論じることは浅はかだと思い
ましたので、読後に感じた感想を記します。

 小泉内閣は、縦割りで業務が遂行されがちな省庁に官邸とい
う横串を刺し、その横串が太くて強力だったから省益を超えた
国策ができたのだと思います。
その太くて強力な横串の芯は、首席秘書官の飯島勲氏でしょう。
 
 本書のエピソードからかいまみる彼の情報網の網の目の細か
さと決断の早さが官邸を支えていたと実感しました。マスコミ
の情報からでは到底知りえない当時の事務秘書官や参事官な
どの官邸のメンバーのすごさには驚かされます。
 
 小泉内閣の当時、新聞などで官邸主導と批判されていました
が、私は官邸主導だったからこそ長期政権を築くことができた
のだと思います。小泉首相は官邸に強いリーダーシップがあっ
たから既得権益がはびこる省庁の省益に縛られずに純粋な決断
をし続けることができたのです。要するに省庁間の連絡調整の
みではなく、リーダーシップを発揮できたのが小泉内閣です。
 
 それができたのは、官邸の人選などに代表されるような前例
や党に縛られず本質を見極めた小泉首相の判断力や決断力とそ
れをサポートする飯島秘書官の存在が大きな要因になっていた
のだと思います。

Book 小泉純一郎の軍師飯島勲 (祥伝社文庫 お 4-10)

著者:大下 英治
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »